それから月日が流れて2011年、この醸造所は、Copa Cervezas de America などの入賞者の常連として名を連ねるようになりました。そして将来を見据え、この業界で最も広く認識されている企業の1つとしての評判を活かし、チームは高まる需要に対応するために生産能力の拡大を決定しました。「私たちが GEA に協力をお願いしたのはこの時です。」と語るのは醸造家の Frank Seifert 氏です。「私たちの夢を実現してくれる企業との提携を望んでいました。」
この時まで、同社は比較的小規模な醸造設備(25 hL)を使用していました。生産規模を拡大するために GEA と建設的な協議を行い、2012年に 100 hL の醸造設備を発注しました。構造拡大策としてこれをクラカビ(チリの首都サンティアゴと沿岸の間にある小さな町)の既存のプラントに導入することにしました。
次のステップとして、投資家と、チリ最大手のワイン生産者の一人である有名なパートナーの協力を得て、100 hL の COMPACT-STAR® クラフト醸造設備を購入しました。1日当たり5バッチ(500 hL)の生産量を目指して3タンク構成にしました。
Cerveceria Kross が環境に優しい醸造を優先しているという表現は非常に控えめです。つまり同社のクラフトビールが一躍有名になったということです。GEA は変わらない設計理念を貫いており、COMPACT-STAR® 醸造設備には証明された数多くの機能が備わっています。
COMPACT-STAR® 麦汁煮沸釜は、特許取得済みの JETSTAR® 内蔵ボイラーを特長としています。「スマート」なプロセスを用いることで、JETSTAR® は煮沸時間の短縮とエネルギー消費量の大幅な削減を実現します。JETSTAR® は2段階煮沸を採用しており、煮沸時間全体でより丁寧で均一な熱処理を麦汁に施すことができます。「煮沸」により、トラブ分離が強化され、麦汁の全体的な質が向上すると同時に、蒸気の使用量が激減します。まさにウィン・ウィン・ウィンです!
その後、不要な揮発性物質を除去するために非常に短い蒸発煮沸段階が必要になります。JETSTAR® はマルチレベル麦汁散布機を備えた独自のサーモサイフォン設計を採用することで、この段階の高速化と効率化の両方を実現します。醸造所の二酸化炭素排出量とガス排出量を一度に削減することができます。
COMPACT-STAR® にはそのほかにも抽出物収率を強化する(98%以上)麦汁ろ過機能があります。抽出物収集量を増やすことで下水の BOD レベルがほぼ無視できる程度になり、加えて、少ないモルトで多くのビールを作ることができます。さらに、平衡麦汁冷却システムが省エネに一役買います。最適量の醸造用温水を作り上げることで、麦汁が冷却されてセラーに送られるので、蒸気は事実上不要になります!そのおかげで、COMPACT-STAR® 醸造設備における水の使用量は、生産される麦汁1 hL 当たり1.3 hL 程度になります。繰り返しになりますが、この設備は必要な天元資源のみを使用するように設定されています...ただそれだけなのです!
従来の煩雑な処理も多少はありますが、この壮大なプロジェクトと設備導入が完了しました。2020年1月には GEA 遠心分離機も導入し、同社の現在の生産力は1日当たり4バッチに達しており、将来的には1日当たり10バッチまで拡大できます。「チリで GEA COMPACT-STAR® クラフト醸造設備の設置と試運転を行ったのはこの時が初めてでした。」と語るのは GEA の プロジェクトマネージャー Erik Löschner。「その結果に喜びを感じています。Cervecería Kross はチリ最大の最も有名なクラフトビールブランドの1つであり、成長し続ける彼らを支援できることを光栄に思います。」
現在、同醸造所はバーをサンティアゴに3店舗、醸造所内に1店舗所有しています。Asbjorn Gerlach 氏はこう付け加えています。「私たちは常に成長を意識しています。高品質クラフトビールのサプライヤーとして、現在のポジションを維持し、さらには、地方市場と中心市場の両方に参入できるまで発展させることを目指しています。」