キールストラ一家は明確な目標を念頭に置いて、労力、費用を惜しまないでカナダからドイツに渡り、発売されたばかりのGEA DairyProQ搾乳カルーセル技術を自身の目で確認しました。「我々を完全に魅了したのはGEAが開発したシステムでした。すべてが搾乳ライナーで衛生的、しかも乳牛の乳房に優しいこのシステムは明らかに快適な体験を乳牛に提供していました」と回想するのは、ブライアン・キールストラです。「我々は搾乳ロボットによる乳頭カップの優れた繰り返し装着精度にも感銘を受けました。このシステムでは、搾乳セッション全体を一人で実行できることも確認できました。これはもう一つの大きな利点となります。その理由は、世界のどこでも同じように、カナダの農村地域でも優秀なスタッフを確保するのは難しいのが現実です」
キールストラ一家は、GEAの自動ロータリー搾乳パーラーDairyProQが家畜の健康を増進し、より速く、より効率的な作業を行うという同酪農場の夢の実現に役立つことを即座に理解することができました。そのために、米国国境近くのカナダ南西部のアボッツフォード郊外にあるVyefield酪農場が業界のパイオニアになることができたのです。「我々は、ここフレイザーバレー担当のGEA販売代理店Pacific Dairy Centerと協働して、複雑なシステム計画をささいな細部に至るまで練り上げました。この計画策定は特に革新的でパイオニア的な作業であったことから、あらゆる側面で非常に多くの経験と多大な努力を要しました。2016年4月までに、32ユニットの搾乳ストールを備えたシステムが稼働しました。これは北米で最初のシステムの一つであり、世界では6番目のシステムでした」と述べるキールストラ氏は、その設計、建設段階、そしてGEAがその立ち上げに青信号を出した瞬間を振り返ります。
科学的調査によれば、乳牛のストレスは牛乳生産量と品質に重大な悪影響を及ぼします。搾乳器 / ミルカーが搾乳手順を静かに開始すると、乳牛は前向きに対応します。しかしながら、乳頭カップが慌ただしく急いで装着されると、乳牛はストレスを感じ、牛乳を出す準備を完全に整えることができません。DairyProQは搾乳プロセスを標準化することによって、この問題を解決しています。キールストラ一家は5年前にこのDairyProQの使用を開始して以来、その搾乳手順を変更していません。これは、24時間体制で常にリラックスした搾乳を実現する理想的な条件を保証しています。「以前は三角形搾乳パーラーで搾乳していましたが、乳牛が搾乳カルーセルへの移行に迅速に適応した様子を見ることは印象的でした」とキールストラ氏は述べます。「その一直線の入口、穏やかな回転、動物に優しい円形ロボットユニットは、乳牛に快適な経験を提供します。そのため、乳牛は搾乳プロセス全体を通して落ち着いて立位姿勢を保持します。この外部回転式搾乳カルーセルのもう一つの利点は、各乳牛が他の全ての乳牛を見ることができることです。これは実際に乳牛をリラックスさせるとともに、大部分の乳牛が反芻行動を継続する様子を観察することも可能になります」
乳牛がDairyProQ搾乳ストールに入った時点で、このシステムはネック レスポンダーにより各乳牛を認識します。数秒後には、MilkRackがほとんど乳牛に気づかれることなしに乳房下を滑るように移動し、3Dカメラを利用して4つの乳頭カップを一つずつ乳牛に装着します。搾乳プロセスは、各乳頭が個々の乳頭カップで十分に保護された状態で始まります。過度な刺激と乳頭洗浄は牛乳生産量の減少を誘発します。前乳を使用して牛乳解析が分房ごとに行われ、完璧な牛乳のみがタンクに流入することが保証されます。低真空での優しくかつ迅速な搾乳プロセスは、乳頭ごとのクラスタ離脱で終了して、過剰搾乳のリスクを減らします。このプロセスに続いて、敏感な乳頭の皮膚を保護剤でコーティングし、まだ拡張されている乳頭管を病原菌から守るバリアで密閉するディッピングが行われます。
搾乳ストールモジュールは乳頭カップ装着に対応するだけでなく、家畜の健康管理に理想的な機会を創出します。このシステムが乳牛ごとおよび乳房分房ごとにすべての搾乳データを収集中には、オペレーターが乳牛を検査する時間があります。これにより、モニタリングが非常に正確になり、牛の病気を示唆する可能性があるあらゆる異常状態を早期発見・警告できるようになります。「我々は1日2回、1時間あたりに約110頭の乳牛を搾乳しています。牛乳量の偏差値がタッチスクリーンに表示されます。PCで牛群管理システムを数回クリックするだけで、乳牛を検査することができると同時に、生産パラメーターとシステム性能をモニタリングすることもできます。これにより、その後の搾乳時に必要に応じて特定の乳牛を確認、モニタリングすることができます」と説明するのは、牛群管理者Kees VanBodegom(キース・ヴァンボデゴム)です。「この方法により、時間を無駄にすることなく、直ちに適切な措置を講じることができます。このような迅速でタイムリーな対応は、家畜の健康を増進するだけでなく、牛乳の損失を回避すると同時に、処理・治療費を大幅に節約するのにも役立ちます」
健全な牛群により、キールストラ一家はこの5年間にわたって一貫して高い産乳量を維持してきました。現在の脂肪含有量は4.31%であり、最初の授乳期の平均乳量は32.6 kgで、さまざまな性能グループにおける平均乳量範囲は37.8~27.1 kgです。過去5ヶ月間の体細胞数が185,000と少ないことは、この優れた結果を強調しています。キールストラ一家は牛乳の生産制限に拘束されているため、約380頭の泌乳牛群サイズを増加させるオプションが制限されています。しかしながら、32ユニットの搾乳ストールを備えたDairyProQロータリー搾乳パーラーは、はるかに多くの乳牛に対応できるように設計されています。このような状況で、この家族経営の酪農場は牛群成長を実現するためのいかなる選択肢も排除していません。
また、Vyefield酪農場は、加熱モニタリングを改善するためにGEAのCowScoutを使用しています。CowScoutを使用すると、乳牛の活動を追跡することによって、理想的な授精の時期を特定して、授精の成功率を大幅に上げることができます。さらに、GEAのFRoneフィードプッシャーは、飼料 (給餌) が給餌テーブルに最適に配置されることを確実にするとともに、給餌テーブル上で動物に向かって繰り返して押される飼料 (給餌) が動物にとって魅力的な状態を維持するようにします。この飼料 (給餌) の継続的な供給は摂餌量を向上させ、産乳量にプラスの影響を及ぼします。
GEAはそのプラットフォーム戦略と自動搾乳ストールモジュールにより、個々のボックスでもDairyProQなどの搾乳カルーセルでも自動搾乳を可能にします。いずれのシステムでも同じロボットモジュールを利用しています。このモジュールには、いわゆる搾乳技術モジュールが含まれており、サービスのために取り外して、必要に応じて専用のサービスエリアで交換して休止期間(ダウンタイム)を最小限に抑えることができます。キールストラ氏にとって、このロータリー搾乳パーラーは、個々のボックスでのストレスのない搾乳よりも優れており、重要な利点を提供するシステムです。「我々は以前として定期搾乳を行っていますが、必要な人員と時間の削減により、牛群管理などの当酪農場における他の重要な仕事に割くことができる自由時間が増えました。さらに、全てのモジュールが独立して機能するため、特定の搾乳ストールで技術的な問題が発生した場合は、別の搾乳ストールに切り替えるだけで、搾乳を中断することなく簡単に作業を継続することが可能です。これまでのところ、全てが順調に進んでいます!」
「従来、搾乳は本当に魅力ある仕事とは見なされていませんでした」とキールストラ氏は述べます。「しかしながら、このような最新のシステムを使用することにより、この職種にジュニアスタッフを引き付けることが容易になりました」従来どおり、各搾乳セッションごとに6時間を割り当て、必要な担当者を確保する代わりに、この搾乳手順全体が今では全自動的で実行されるようになりました。同時に、重労働が大幅に削減されました。「DairyProQロータリー搾乳パーラーは、ユーザーフレンドリーなワークステーションを構築します。すべてが理解しやすく、快適に操作できます」とキールストラ氏は続けます。「これは最新の最先端技術を駆使した搾乳パーラーであり、作業時間が規則的であるため、特に若者に魅力ある仕事です」このパーラーのすべての特徴は、キールストラ氏に楽観的な将来を期待する十分な理由を与えてくれます。「私は5年前にGEAと共にこの道を進んだことを満足に思っています」とキールストラ氏は述べています。「この32ユニットを備えた自動搾乳ストールは、一度に一人のオペレーターしか必要としないことから、大幅な省力化により、採算が取れる投資です」