お客様の事例
1954年に設立され、イタリアに本社を構える I.C.A.I. S.p.A. (ICAI)は、世界の皮革産業向けに合成タンニンや再なめし剤、天然・合成脂肪酒、乳化剤、金属加工用添加剤などの特殊工業薬品を製造する大手メーカーです。ICAI 社は研究開発や最先端技術、高度なエンジニアリングへの多大な投資に支えられながら、製品とプロセスの革新に重点を置き、一貫して成長を遂げてきました。
GEA と ICAI 社との輝かしいパートナーシップは、ほぼ25年近くにもわたります。1999年と2005年、トリノ首都圏にある ICAI 社の主要設備に設置された工業規模の GEA NIRO® 噴霧乾燥機は、多彩な製品を処理する信頼性の高い主力製品として現在も稼働し続けています。ICAI 社は最近、同設備に新しい GEA NIRO® 噴霧乾燥機を導入。これに伴い、業界における環境負荷を低減した製品に対する需要の高まりに対応できるようになりました。
トリノ首都圏にある ICAI 社の本社工場
ICAI 社内の研究開発チームは、持続可能な原材料と革新的な分析プロセスを積極的に活用し、既存の製品はもちろんのこと、将来的な製品においても新たな道筋を模索・開発しています。ICAI 社は近年、ビスフェノール含有量の低い包括的な各種製品を導入することで、ファッションや自動車業界を含む幅広い分野において、これらの工業化学物質が環境や健康に与える影響を大幅に低減することに成功。
2022年には当社との提携により、ICAI 社は3台目の大型 GEA NIRO® 噴霧乾燥機の設計・構成を開始しました。この新規プラントは、現在ハイファッションや自動車業界の皮なめし工場やその他の用途向けに販売されている、低ビスフェノール製品の生産に特化したものとなっています。当社のお客様によるこの大規模な投資において設計上の重要な特徴となっていたのは、安全性と環境保護という側面です。すでに ICAI 社に設置されている NIRO® 噴霧乾燥機に隣接して設置された新規プラントには、2006年以来 GEA が開発してきた複数のアップグレードと追加の安全機能が盛り込まれています。
最終製品中のビスフェノール濃度を数百万分の一まで落とすために ICAI 社が設置したこのラインはまったく新しいもので、プロセス段階を通過する供給液を受け入れて移送するための専用配管システムが備わっています。
2024年初頭に設置・試運転がうまくいったことを受けて、新しい GEA NIRO® 噴霧乾燥機は、CE マーキングの完全取得に向けた規制当局の審査に合格。今年上半期には商業生産が開始されました。当社ではこのプロセスを通じて、ご要望のあった微調整を行いつつ、システムが初日から最高品質の機能と性能を発揮できるよう ICAI 社と力を合わせてきました。GEA NIRO® 噴霧乾燥機
3台目となるこの噴霧乾燥機の共同設計・構成プロジェクトにおいて、当社は ICAI 社にとっての重要な目標を理解することができました。同社の目標とは、運転の最適化、プラント・プロセス安全性の確保、廃棄物と潜在的な汚染源の削減など。ICAI 社は厳しい環境保護要件に準拠するため、処理水の除染とリサイクルのための効率的な処理システムを運用しています。
そこで GEA は、新しい噴霧乾燥機のために熱交換式(air-to-air)熱回収システムを構成・設置。このシステムでは排ガス中の廃熱が回収され、吸入ガスの加熱に再利用されます。この熱回収機能により、システムなしの場合に予想されるエネルギー消費量と比較して、プラント全体のエネルギー消費量を約200 kW効果的に削減することができるのです。排ガスから熱を回収することにより、この熱交換式熱回収技術使用時には、排ガス温度も約92℃から約62℃に下がります。
新しい NIRO® 噴霧乾燥機には、噴霧乾燥チャンバーとバッグフィルターに GEA DRIVENT® 2.0 防爆ベントが装備されています。これらのベントには爆発の危険性に対する重要な認証済み保護機能が搭載されており、長寿命を誇るとともに、取り付けもメンテナンスも簡単に行えるよう設計されています。さらにこのプラントの構成には、製品ロスや汚染を低減し、機器の寿命を向上させるため、最新の GEA スクラバーユニットとバッグフィルターが組み込まれています。
プラントの全体的な設計は、すべての規制要件に準拠していると同時に、定期監査や臨時監査も容易です。
半自動 GEA NIRO® 噴霧乾燥機は、当社の最先端 GEA CODEX® プラットフォームによって制御されるようになっており、主要なパラメーターの監視することで、プラントを確実に年中最適に稼動させることができます。CODEX® の監視により、安全性に関する問題が発生する可能性を抑えるだけでなく、プラントの効率と生産性を大幅に改善し、より信頼性の高い高品質の製品を生産すると同時に、計画外の停止やエラー発生のリスクも最小限に抑えることができます。CODEX® を制御することで、プラントが工場のサイロや供給タンクに直結され、プロセス段階のコネクティビティがさらにシームレスになります。このハイレベルなコネクティビティと自動化により、手作業とそれに伴う遅延の必要性もさらに減少します。
さらに CODEX® プラットフォームは、プラント担当者向けのユーザーフレンドリーな視覚化ツールとなっており、ハンズフリー操作が可能で、ヒューマンエラーのリスクを最小化するだけでなく、オペレーターは他の重要なプラント機能を実行することができます。
ルイジ・ヴァリフォコ氏
ICAI 社 CEO
重要なのは、新しい噴霧乾燥機を ICAI SAP と倉庫管理インフラに接続することで、ジャストインタイム生産をサポートできるという点です。製品の加工とお客様への納入の時間的なずれをさらに減らすだけでなく、プロセスと在庫、発注を連携させることにより、不必要な備蓄を最小限に抑えて、無駄を省くことができます。ICAI 社工場の倉庫容量に対して行われた大規模な投資(新しい噴霧乾燥機への投資額は倉庫への投資に次ぐもの)により、同社は新規受注に迅速かつ完全に対応できるようになりました。
ICAI 社の生産インフラと GEA の機器は、変化し続ける市場の需要や期待に迅速に対応できるよう構成されています。そのため、ICAI 社の新しい GEA NIRO® 噴霧乾燥機は単一製品を製造するために構成されてはいるものの、このプラント本来の柔軟性を保っており、当社の噴霧器と COMBI-NOZZLE® システムが付属しているため、各種製品の製造用にいつでもプラントを再構成できるようになっています。ICAI 社は将来、まったく新しいタイプの製品を製造するため、このシステムを使用することもできるのです。また、同社にある既存の GEA 噴霧乾燥機で製造されている噴霧乾燥製品の処理能力を高めるため、プラントを再構成することも可能です。
GEA は ICAI 社と継続的で積極的なパートナーシップを結んでおり、遠隔地であろうとイタリアの工場であろうと、いつでもお客様と協力できる体制を整えています。当社の目標は、お客様の機器を最高のパフォーマンスで稼働させ続けることであり、新規・既存プロセスに関するアドバイスやサポート、テストオプションはもちろんのこと、アップグレードやシステムの改善ついても提案を行っています。継続的なコラボレーションにより、市場の需要を満たす製品とプロセスを提供し、より持続可能で収益性の高い、環境に配慮したビジネスモデルを成長させるというパートナーの意欲をサポートしているのです。
ルイジ・ヴァリフォコ氏
ICAI 社 CEO