日本の明治での GEA IceCon® 導入による製品の革新とコストの削減

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GEA は、日本の大手乳業メーカーである株式会社明治様向けに凍結濃縮ラインを建設しました。このラインでは、同社のプレミアム乳製品に使用するための高品質濃縮ミルクを提供しています。

明治様が求める製品品質、衛生性、高生産性を実現する全く新しいタイプの氷結晶分離用ハイドロリックウォッシュカラムを組み込んだ GEA の最新の IceCon® テクノロジーを、両方の生産ラインで採用しています。明治様によると、この新しいシステムにより、投資コストと製造コストを抑え、従来の蒸発濃縮技術では実現不可能だった最高品質の濃縮製品を提供しています。

 

ドライバー

乳製品市場はここ数年減少していましたが、現在は増加傾向に転じています。その需要は主に低脂肪、カルシウム強化製品に大きく傾いていますが、消費者は熱処理が施された牛乳ではなく、新鮮な生乳の味を求めています。明治様は、GEA のこの新しいテクノロジーを導入することで、消費者が求める新鮮さと自然の風味を持つ製品を生産できるようになったのです。

明治/十勝工場

明治の十勝工場は日本北部の島である北海道にあります。明治様は日本最大の乳製品製造業者の1つであり、牛乳、ヨーグルト、チョコレート、乳児用調整粉乳、特殊製品など多岐にわたる製品を取り扱っています。十勝工場では脱脂粉乳の濃縮を行っています。濃縮することで日本国内の別の場所にある製造工場への輸送を容易にしています。

以前は、水分を除去して固形分を増やすために蒸発濃縮を利用していました。しかし、製品品質を重視し、GEA と協力して、蒸発時の加熱による味への影響を回避しながら必要な処理量を実現できる代替技術の開発に取り組んだのです。

GEA IceCon®

この新しいシステムでは 3 段階の凍結濃縮工程を利用して、求めた結果を実現します。牛乳は通常の方法で殺菌された後、GEA IceCon® プロセスを通過し、輸送中に乳糖が沈殿するリスクを冒すことなく可能な限り最高の 33% まで濃縮レベルを上昇させます。

凍結濃縮では、液体内に氷の結晶を生成してからその結晶を除去することで、濃縮生成物を残します。この原理はしっかりと確立されたものですが、GEA は明治様のニーズに応えるために、IceCon® プロセスを開発して強化しました。鍵となる要素はこの新しいいハイドロリックウォッシュカラムで、濃縮物から氷晶を連続で分離します。この新システムでは、往復ピストンを使用して氷を除去するのではなく、ポンプを使用して連続プロセスを形成するので、さらに経済的かつ効率的であり、お客様の能力と衛生条件を満たします。

全乳の新鮮な味

明治様は上記の方法で牛乳を濃縮することで、全乳の口当たりを再現したフレッシュな味を維持しながらも脂肪を抑えた製品を作ることができています。

明治の研究戦略部の研究戦略Gのマネージャーである神谷哲博士は、牛乳の風味と栄養価はこのプロセスの影響を受けないで維持されることを確認しました。「これは蒸発システムでは不可能であり、品質の高いこの製品があれば、我が社は日本市場で勝ち抜くことができると信じています。」と神谷博士はおっしゃっています。

明治
コスト削減

コスト削減も期待できます。製品を氷点下で維持することでバクテリアの成長を抑制するので、定置洗浄 (CIP) が減り、それによってダウンタイム、および化学薬品と水の全体的な使用量が減ります。「これは操業コストに大きく影響します。」と神谷博士はおっしゃっています。熱回収も利用すれば、さらにプラントのコストを引き下げることができます。

設備もさらにコンパクトになるので建物を縮小でき、IceCon® の冷水を予冷プロセスで再利用できます。「総コストは TVR よりも低く、MVR 並みです。」と博士は続けます。日本北部の (特に冬の) 寒冷気温のおかげもあって、IceCon® プロセスは蒸発処理よりもコスト効率が高いのです。

「誰もこれを信じてくれませんが、事実です。これは乳業における革命なのです。」明治研究戦略グループマネージャー神谷哲博士

明治研究戦略グループマネージャー神谷哲博士

洗浄カラムの開発

凍結濃縮・溶融結晶化担当の GEA 製品マネージャー Jan van Esch は、GEA エンジニアがこの用途向けにウォッシュカラム全体を設計し直したと説明しています。「ピストンではなく水力学を利用することで、同じサイズの設備で処理量を倍増させました。」と述べています。「これは以前は実現できなかったことで、この種のプラントではここが世界初のプラントとなりました。初期パイロットのコンセプトを本格的な工業規模に反映させ、設計を慎重に検討し、効率を最大化するために変更を加えました。明治様は、弊社と緊密に連携して作業した期間全体を通じて、非常に熱心にご支援くださり、非常に積極的な姿勢を貫かれました。ウォッシュカラム技術においてスタンダードを確立できたことに喜びを感じています。」

このプロジェクトには、オランダの凍結濃縮技術センターと GEA ジャパンから、プロジェクトマネージャーとエンジニアが参加しました。この緊密な連携とチームの努力により、試運転と立ち上げがスムーズに進み、2つ目のラインにいくつかの改善を施すことができました。

自然の風味を持たせるには水の除去がカギ

特許を取得した GEA IceCon® では凍結濃縮により純水を除去します。これによりオリジナルの製品特性のすべてを牛乳の中に残すことができます。
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