ミュンスターのグリーン電力の大半が、コーアーデにある熱及び電力組み合わせプラントで作られますが、ここでは昨年初頭より当社のデカンタが使用されています。
有機廃棄物をエネルギーに変換する際、いわゆる「Bio-Stab (生物学的安定性)」方式が使用されます。有機廃棄物は、収集されると注意深く洗浄され、プラスチック、金属または石 / 砂などが取り除かれます。その後、小さい粒子に分解され、処理水が加えられて発酵用の消化槽に入れられます。スラッジ様の物質は、例えば酸素を完全に除外するなど、厳密な嫌気条件下において 55 ℃で 15 日間発酵されます。この間、設備ではメタンガス含有量が 50 ~ 60 パーセント、二酸化炭素含有量が 40 ~ 50 パーセントのバイオガスが作られます。このガスは、隣接する熱及び電力の組み合わせプラントに送られ、エネルギーに変換されます。このようにして、ミュンスター市では年間平均 (純量) 3000 MWh の電力と 3500 MWh の熱が生み出されます。
2009 年 4 月以降、消化されたスラッジは 2 種類の UCA 501 デカンタで脱水されるようになりました。運用コストと電力消費が低いこのデカンタは、毎日 300 ~ 400 m3 のバイオマスを脱水しています。これまでの古い 2 基の機械は、環境に配慮したデカンタ 2 基に置き換えられました。入札への誘いが 6 社のメーカーに送られ、そのうち 3 社が最初にミュンスター市の選択プロセスに見積りを提出しました。このプロセスで他の会社がふるい落とされ、当社だけがプロセスの最後まで残りました。「連帯を重視したプロジェクト計画、参考にする施設にあるデカンタ設備への訪問、とりわけ可動性設備を利用した現地での試験がミュンスター市を動かし、GEA が提供する技術を使用して既存の遠心分離機を置き換える決断に至りました。
我々は特に、他のバイオガス発酵設備との比較でわかりやすく説明してもらった結果、GEA のデカンタに感銘を受けました」と、ミュンスター市有機廃棄物発酵の運用事業部長である Udo Hibbeler 氏は言います。
「さらに重要な要因だったのは、中期的な修理コストを算出可能であった点です。GEA は合理的な保全契約を提供してくれる唯一のデカンタ製造会社でした。我々は、それを肯定的な面ととらえました。メーカーは、その機械に信頼を寄せられるものでなければなりません。運用の面でも確実な会社であり、保全契約は予測可能でなければならず、GEA はそれを実現してくれました」Udo Hibbeler 氏は付け加えます。「GEA との協力の下、機械の台数、速度、時間あたりのスループット、毎日の運用時間といった可変要素を含む規格を定め、そのデータを基に年間の運用時間と定められた保全率を計算しました。したがって、保全コストは固定されていません。それどころか、設備をどのように運用するかが年間コストに影響を与えるのです。」
保全契約では、スループット容量、脱水の度合及び遠心分離液の品質の値が定められています。「10 年間にわたって効力を持ってきたこの保全契約では、予算の信頼性と重要側面に重点を置き、修理コストを計画できるようになっています。ただし、この 10 年間をずっと見てきても、計算できない無計画の「アドホックの修理」を行うときよりもずっと低コストで運用できています」と、Udo Hibbeler 氏は言います。
当社は発注の面での基準も満たしてきました。「我々は、事前試験で肯定的な結果を目にしたいと思い、最終分析ではそれを実現できるのが 2 社のプロバイダだけと判断しました」と運用事業部長は述べています。当社は、本来の材料を使って現地で運用できる可動性設備を使うという特に優れた方法で事前試験を実施しました。既存の機械のうち 1 基を 1 週間にわたって切断し、代わりに可動性設備を稼動させました。
さらにミュンスター市は、これまで使用してきたカスタマイズ製品はもう使用しないという慎重な決断を下し、代わりに標準的な機械の利用を決定しました。「このように標準的な機会を使用すれば、必要になったときでも、本来のロータは GEA に予備部品として保管されていますから」と Udo Hibbeler 氏は語ります。当社は UCA 501 を生かし、最新設計の高性能脱水デカンタを製造することに成功し、基本的に性能の向上を図るだけでなく、同時にサービス及び運用コストを削減しました。環境に優しいデカンタは deep pond 設計です。特殊なロータ形状は、ロータの高速回転と組み合わされて、高いスループット性能を保証します。頑丈な多段遊星歯車自体が最適な脱水を行うための高いスクロールトルクを生み出し、これは高い差動速度でも一定のまま保たれます。高いスループット容量と極めて高いトルクであっても、具体的なエネルギー要件は 1 kW/m³ 以下です。
また、ミュンスター市は、古い機械と比べて 1 時間あたり 15 立方メートルから 30 立方メートルとデカンタあたりの脱水容量を倍にすることで、設置可能性の面で安全を期したいとも考えました。この場合、機械のサービスが必要になったときは、ボウル速度とスループット容量を増やして処理を調節できるので、残留物の脱水を 1 基だけでも処理可能です。「通常、毎日の稼動 8 ~ 10 時間で機械 1 基あたり毎時約 15 ~ 18 立方メートルを脱水するため、もし機械 1 基を点検したり停止したりせざるを得なくなった場合、毎時 30 立方メートルで稼働する 1 基の遠心分離機で全量を処理する必要があります。これはつまり、我々が高い設置可能性を求めているということです」と、Udo Hibbeler 氏は言います。
「新しいデカンタは、毎分 2600 回転で稼働します。この速度は、以前の速度の毎分 2950 回転より低いのですが、エネルギー消費量を大幅に削減します。遠心分離液は、以前到達した数字よりはるかに低い値を実現しました。脱水効率性は、約 35 パーセントの乾燥物質と、ほぼ変化がありません。
約 35 パーセントの乾燥物質と貴重な有機成分ともにデカンタから排出される固体は新鮮な堆肥で、有機廃棄物条例に従ってさらに腐敗させる必要があります。この目的のため、この処理で得られる Bio-Stab の土壌は、新鮮な菜園廃棄物と混合されます。この菜園廃棄物は、隣接するミュンスター市の菜園廃棄物堆肥化施設で作られ、非常に高品質の堆肥となって、これをミュンスター市民はわずかな料金で手に入れることができます。
ミュンスター市にとっては、新しく環境に優しいデカンタがテスト目的で可動式設備としても利用できるという二重の利点がありました。可動式設備での試験が問題なく完了した後、デカンタの組み立て及び作動させるプロセスの間、セミトレーラが再び使用されました。「これは、新しい機械を既存の機械がある場所に設置する必要があったためです」と Udo Hibbeler 氏は説明します。古い機械を解体する必要があるにもかかわらず、発酵装置で進行中の処理を中断しなくて済むように、2 週間の移行期間の間スラッジの脱水には可動式のデカンタを使用し、問題のない稼動を実現しました。「このようにしないと、稼動が長期間中断されて、課題に応えなければならなくなったはずです。納入にかかる時間ならびに解体 / 組み立てにかかる時間は、競合他社よりはるかに短かったのです。そして最後に、GEA は使用済みの機械を部品での支払いとして受け付けてくれました。我々の立場からすれば、非常に都合が良かったのです。」ミュンスター市は、デカンタが 1 年以上にわたって問題なく稼動している様子に満足しています。また、当社は 10 年間の保全契約を結び、財政計画の信頼性を求めるミュンスター市の要件を満たしました。「この契約を含め、我々はこの件全体に関して非常に好感を持っています。」と Udo Hibbeler 氏は語ってくれました。