24 Jan 2020
人口の大部分はグルテンを無害なものとして消費しますが、人口の約1%では、わずかな量のタンパク質を摂取することでもセリアック病、つまり小腸の内側を損傷してしまう自己免疫疾患を引き起こします。この損傷では、徐々に食品から通常の栄養素の吸収を妨げ、栄養失調を引き起こす可能性があります。
セリアック病は遺伝性であるため、家族内で発症します。典型的な症状としては、腹部膨満、けいれん、下痢、便秘、頭痛、疲労感、関節痛などがあります。しかし長期的な疾患としては、その他の深刻な自己免疫疾患、皮膚疾患、さらにはてんかんや心血管疾患のリスクの増加にも関連しています。
セリアック病を患っていない一部の人々は、食事中のグルテンに依然として敏感となり、グルテンを含む食品を食べると、痛み、腹部膨満、下痢などの同種の胃症状を発症することがわかっています。グルテン過敏症は健康に対する深刻な脅威というよりは不便となりますが、それでも多くの不快感と苦痛を引き起こす可能性があります。
グルテンを含むものを食べたり飲んだりすることを避けること以外に、セリアック病やグルテン過敏症の治療法はありません。しかし、これは成し遂げられない偉業ではありません。グルテンを含む全粒穀物と小麦粉を使用して作られていることが明らかなのは、パン、パスタ、ペストリー、クッキー、またはスナックだけではありません。調理済み食品、スープ、ソーセージ、ソースなどの加工食品、または調味料やその他の食品成分にもグルテンは広く含まれています。
それでは、業界ではどのようにして、栄養価が高い状態で、従来の馴染みのあるものと同じくらい見た目が整っている、味の良いグルテンフリー食品を生産できるでしょうか?代替的な原材料を使用してレシピを開発するための鍵は、グルテンがこれらのレシピで実際に「行う」ことを理解することです。水と混ぜ合わせると、グルテンタンパク質は膨張し、弾性のある固まりのネットワークを形成します。この固まりは、パン生地やパスタの形状などの構造維持に役立ちます。弾性のあるグルテンは、ケーキやビスケットなどの小麦粉ベースの製品のバインダーとしても機能します。小麦の代わりにジャガイモ、米、トウモロコシ、ソルガム、タピオカなどの元々グルテンを含まない原材料を使用することは、グルテンの代替品としての天然でんぷんを活用できるレシピ、プロセス、および機器を開発できることを意味します。
世界で最も基本的な食品の一部に代替原材料を使用できることは、小麦、大麦、ライ麦が作物として地理的に繁栄しない地域においても経済的利益をもたらす可能性があります。過去数十年にわたって、適合した製造プロセスおよび機器の開発により、小麦をかなりの金額をかけて輸入するのではなく、これらの国の製造業者は安価な地元産の穀物や塊茎を使用して、パンやパスタなどの主要食品を生産することができました。
これらのグルテンを含まないパンやその他の主食を生産するためのプロセスと機器を設計する必要性を理解し、GEAは過去40年にわたって、多用途にわたる小規模および工業規模のテクノロジーと加工ラインを開発してきています。これは世界中の多くの伝統的なグルテン含有製品を生産している製造業者にとって費用対効果が高くなっており、地元で栽培されたグルテンを含まない原材料を使用できています。
「数十年前に開発された当社の最初の機械は、製造業者が小麦以外の自家栽培の作物からパスタを生産する支援ができるように設計されていました」と、押し出しやフライス加工技術の専門知識を備えているGEA PavanのR&DディレクターであるLuciano Mondardini氏は述べています。「健康上の理由でグルテンフリー製品を開発する前から、当社ではそのようなプロセスとテクノロジーを開拓していました。」
その後もGEAでは、粘着性のグルテンを含まないパン生地を処理できる生地デポジッターや、製造業者では一般的に困難とされるグルテンを含まない生地や練り粉を扱うことができる完全自動化ラインなど、専用マシンと機器オプションの開発を続けてきました。GEAの機器を使用している今日の加工ラインでは、塊茎と穀物の天然でんぷんの結合特性を活用するレシピを利用して、主流市場と健康志向双方のニッチ市場において、最高品質であり魅力的で美味しくヘルシーなグルテンフリーオプションを生産しています。「プロセスの重要な部分は、添加物やその他のバインダーを使用せずにでんぷんをゼラチン化するための方法および装置です」とMondardini氏はコメントしています。「今日、ポーランド、ブラジル、アルゼンチン、ロシア、米国、カナダなど、遠方の国々でグルテンフリーのパスタ工場があります。」
最近になって、アフリカ諸国の生産者数が増加しており、ソルガム、キビまたはトウモロコシを加工して主要商品としてパスタ製品を製造する設備の関係で、GEAに連絡が来ています。「例えば、輸入小麦ベースで生産を行うパスタの製造業者が、地元の作物を使用してグルテンを含まないパスタの製造に切り替えることができる機器を、当社では提供可能です。実際、システムを調整し、あらゆる小麦粉を使用して、これまでと同様な形状のショートカットパスタまたはロングカットパスタを作成できます。」新興市場の1つとしてエチオピアがありますが、主食はテフと呼ばれる古くからの穀物で、発酵パンの製造に伝統的に使用されています。GEAの機器を使用することで、製造業者はテフを使用して、保存期間の長い、保管と輸送を容易にできるパスタの製造が可能になりました。
「当社の機器を使用して、この地元産の作物活用の実現可能性を実証するパイロットプロセスを開発できました」とMondardini氏は話しています。「主食作物を使用した、安価で大量生産が可能である健康的な既製食品の入手可能性は、貧しい人々により良い栄養価を与えられることを意味し、同様にセリアック病とグルテン過敏症の人々に重要な栄養価と選択肢を提供できる可能性があります。」