2020年7月20日
国連は、エネルギーの効率化により、世界の気候目標の達成を目指すために必要な40%の排出量削減を実現できると考えています。エネルギーを大量に消費する産業界は、規制強化に直面しており、CO2排出量の削減とさらなる効率化を要求されて非常に大きな圧力を受けています。そこで耳寄りなニュースです。GEA の総合的なエンジニアリングソリューション (Nexus)エキスパートは、その対応について世界中のさまざまなお客様を支援しています。
GEA の設備とプラントはその優れた耐久性と効率性で知られており、当社はこれを誇りに思っていますが、この栄光にあぐらをかいてはいません。当社は、持続可能な価値の創出に対するコミットメントと「Engineering for a better world」という基本理念の一環として、エネルギー使用量の低減とプラント効率の最大化(同時に1台のマシン)に継続的に取り組んでいます。
製造の一部として、特に食品加工・乳製品・飲料分野では、加熱と冷却の両方を含む冷凍処理が、重要な役割を果たします。GEA 冷凍ソリューションはエネルギー効率が非常に高く、どのソリューションでも、自然冷媒であるアンモニアをベースとするコンプレッサ技術を採用しています。アンモニアはハイドロフルオロカーボン(HFC)とは異なり、すぐに入手でき、安価で、環境への影響が非常に少ない物質です。HFCの段階的廃止を求める法律の増強により、お客様はアンモニアなどの自然冷媒への切り替えを強いられており、例えば EU は2019年に、F ガス排出量の3分の2を2030年までに削減するという目標を掲げています。
- 国際連合環境プログラム、国際エネルギー機関、2019年
プラント効率の多少の改善(おそらく2~4%)は、設備の特定の部分やプロセスの1つの段階に注目するなどといった小規模な段階的方法で達成でき、プロセスチェーン全体でプラントを総合的に調査することで最大の成果が得られます。GEA は、お客様の正確なエネルギー要件の分析、最適化の実行、方程式へのユーティリティの包含を盛り込んで、実証済みの体系的アプローチを開発しました。ヒートポンプ技術を製造プロセスに結び付けて、エネルギーを無駄にせず確実に循環させます。
各 GEA NEXUS プロジェクトにはお客様向けの連絡窓口が1つ含まれており、乳製品加工、食品加工または飲料加工の分野のエキスパート(必要に応じて)と、さまざまな加工業界の冷凍(加熱と冷却)の専門知識を持つチームメンバーを参加させた職能横断技術チームがバックアップします。NEXUS のお客様は、GEA の営業部門とサービス部門のエキスパートによるサポートを受け、総合的なプロセス分析と、GEA と GEA パートナーの製品を活用する持続可能性に優れた統合プロセスソリューションに関する提案を受けます。各プロジェクトではお客様のビジネスパラメータと野望を考慮し、これらを測定可能な KPI として定式化し、それに応じて導入を実行します。
- GEA Refrigeration UK の技術営業責任者 ロバート・アンズワース
GEA NEXUS チームは、グリーンフィールド(未開発地域)でもブラウンフィールド(利用されなくなった工業用地)でも、状況に合わせてソリューションの設計と強化の両方に対応し、以下を提供できます。
これまで、冷却と加熱はプラント全体のエネルギー消費量の50~90%を占めていました。これには通常、廃熱フロー(廃水、暖かく湿った空気、冷凍システムからの復水熱など)と熱消費源(処理水、セントラルヒーティングシステム、漂白剤、乾燥機など)が含まれます。結果として、食品、飲料または乳製品のほぼすべての加工プラントは、他の製造工程で再利用するために廃熱を回収して強化(または冷却)できる能力があれば、GEA ヒートポンプの導入により利益を得ることができます。
ヒートポンプは1980年代当初から家庭と地域暖房で使用されてきましたが、食品加工への導入はもっと後のことです。これには、現在では最高温度90℃を達成できようになった GEA ヒートポンプ技術が少なからず貢献しています。「食品業界、乳製品業界、飲料業界は、それぞれのプロセスでさらに高い温度を必要としているため、実際にヒートポンプ開発の主な原動力となっています。」と、GEA Refrigeration Technologies でヒートポンプ担当製品マネージャーを務めるケネス・ホフマンは説明しています。「ほぼすべてのケースで、GEA ヒートポンプを導入されたお客様は、一般的に水の過熱に使用されるガス燃焼ボイラーの全部とは言わないまでもその一部を廃止できています。これにより自動的に省エネが促進されて CO2 排出量が大幅に低下します。加えてグリーンエネルギー源を利用すればさらに強化できます。」このステップにはさらなる設備投資が必要になりますが、操業コストを大幅に削減できるため短期間で回収できます。
GEA 独自のNEXUS 商品は、当社の広範なポートフォリオと産業ノウハウの頂点であり、これを冷凍に関する専門知識に結び付ける能力と組み合わせて提供します。GEA はプラント効率の強化に関して実際に数十年に渡ってお客様を支援してきましたが、現在は、単一窓口を通じて統合商品を提供することで、より簡単にお客様にご利用いただけるようになっています。
液体乳製品加工(アイルランド)
アイルランドで2番目に大きい液体乳製品加工業者である Aurivo は、厳しいマージンと、能力を増強すると同時にエコロジカルフットプリントを改善したいという願望に押されて、2019年にキリーゴードンの拠点を刷新しました。この総合的なアップグレードには、新しい液体プロセスシステムに加え、GEA の最新の省エネ冷凍・熱回収用ヒートポンプソリューションが含まれています。その結果、Aurivo のこの拠点では、CO2 排出量が80%削減され、1時間当たりのミルク加工能力が約80%向上し、操業コストを年間で €347,000 以上削減できました。Aurivo は、グリーン電力供給業者をすでに利用していましたが、このプロジェクトの支援を受けて、化石燃料を使用した水ボイラーへの依存度を最小限に抑えることで、全体的なエネルギー使用量を大幅に削減しました。これを可能にしたのは GEA ヒートポンプシステムの導入でした。このシステムによって、新しい冷却プラントから出る余分な熱を回収してミルク殺菌プロセス用水の加熱に回しています。
「当社はヒートポンプの提供に留まりませんでした。」とホフマンは説明します。「Aurivo のこの拠点のヒートポンプ用途に合わせて低温殺菌装置を最適化しました。そして、単なる個別のパーツではなく完全ソリューションを提供することに専念し、当社のテクノロジーを駆使して、廃棄物、エネルギー消費量、化石燃料使用量を削減すると同時に能力を増大させました。この施設は現在、アイルランド国内で最も持続可能性の高い乳製品プラントの1つとなっています。事実、このプロジェクトはアイルランドの持続可能エネルギー機関から名誉ある「優秀エネルギー効率デザイン(EXEED)認定」を授与されました。
乳製品加工(オランダ)
欧州のあるグリーンフィールドモツァレラ製造施設のために、GEA NEXUS チームは無ガス製造を必要とする新しいプラントに対し、受賞歴のある分析と設計を提供しました。GEA は次に、全体的なエネルギー消費量を計算してプロセス内外の加熱と冷却をマッピングした24時間グラフを含めたプロセス全体(原料から最終チーズ製品まで)の調査に基づき、GEA ヒートポンプ技術を活用する持続可能性に優れた統合プロセスを提案しました。その結果、冷却プラントからの廃熱が再使用され、ぬるま湯と温水のプロセスニーズを満たすためにアップグレードされるようになりました。このアップグレードされた廃熱により加熱需要に対して最大で80%まで対応できます。プラントでは年間約 2,700 トンの二酸化炭素排出量を削減し、ユーティリティーの運用費用も年間50万ユーロ削減しています。
- GEA ノンアルコール飲料開発部 コルム・オゴルマン