25 Jul 2022
これは2050年までにカーボンニュートラルを目指すというもので、社会・経済のあらゆる側面における目標と戦略が盛り込まれており、化学業界はより持続可能なヨーロッパを実現するための主要な産業とみなされています。1 食品加工、鉱業、建設業は、熱、電力、その他非エネルギー関連の化石燃料の自家燃焼や化学プロセスを含む様々な産業プロセスから排出される温室効果ガス全体の5分の1を占めています。2 しかし、これらの最終製品はほとんどすべての戦略的バリューチェーンに存在するため、将来的に強力で持続可能な欧州経済を実現するためには化学業界の拡大が不可欠なのです。
では、2050年までに資源を効率的に利用し、温室効果ガスの純排出がなく、社会的責任を果たす、近代的で競争力のある経済へと EU を改革するためには、どのように取り組めばよいのでしょうか。何よりも肝心なのは、今すぐ行動を起こすことです。もちろん、これらの問題に取り組むことは長期的なプロジェクトです。しかし、産業界が現在の事業運営方法を見直すだけでなく、企業も廃棄物やエネルギー源、原材料への対処方法について、将来を見据えたアプローチを取る必要があります。
そして、どんなに革新的な組織においても、グリーンディールの目標を阻む多数の障害を克服するために適用できる、そして適用すべき共通のテーマが存在します。具体的な問題を念頭に置き、解決策を導き出し、実行するために必要な研究開発にあらゆる努力を注ぐべきなのです。品質はもちろんのこと、収益性を維持し、現在ならびに将来の規制に準拠するためには、戦略的なパートナーシップの構築が有効となります。しかし、実際にハードルを乗り越えるためには、調査や実験、昔ながらの頭脳労働などをオーダーメイドで集中的に行う以外に方法はありません。
電力、運輸、暖房、産業を「セクター統合」戦略によって脱炭素化し、 CO2 排出量に対する課税強化と EU の炭素税によって CO2 排出量を削減するというグリーンディールの目標達成が困難を極めるということは周知の事実でした。エネルギー価格が上昇し続け、化石燃料の埋蔵量が減少している現在、あらゆる産業プロセスにおいて、エネルギー回収の重要性がこれまで以上に高まっています。工場や化石燃料を用いた火力発電所で発生する CO2 を大気中に放出される前に回収する二酸化炭素回収貯留(CCS)や二酸化炭素回収有効利用(CCU)技術が今強く求められているのです。
GEA は持続可能な生産活動を念頭に置き、廃熱回収やガスの前処理技術、CO2 削減や炭素の再利用を支援する炭素回収ソリューションなど、幅広い製品を提供しています。 いずれもカーボンフットプリントの削減を可能にする、確立された戦略です。
このエネルギー回収技術を有機ランキンサイクル(ORC)原理(作動流体が過熱器に送り込まれ、そこで蒸発し、最終的に再凝縮される)と併せることで、廃熱を電力、圧縮空気、蒸気などの貴重な資源に変えることができるのです。
例えば、サンゴバングループのインド(スリペルムブドゥール)とイタリア(ピサ)の板ガラス生産ラインでは、廃熱回収装置を使用し、それぞれ電力と圧縮空気、周囲暖房用の熱エネルギーを生産しています。炭素回収に投資することで、産業プラントが次世代のために環境を保全しながら最終製品の価値を高められるようになり、中期的には戦略的な資産となるのです。
再生可能エネルギーへの転換を求める環境圧力と安全で高品質な製品の生産を確保するための法規制に直面し、この2つの目標を同時に達成することは不可能に思えるかもしれません。しかし、化石燃料の使用量と二酸化炭素排出量の両方を削減するための解決策は数多く存在します。そのひとつとなるのが、加熱源を蒸気から自己蒸気圧縮(MVR)に置き換えるというプロセスの「電化」です。
GEA では MVR 技術を用いた特許取得済みのエネルギーコンセプトを提供しており、すでにアイルランドのコークにあるミドルトン蒸留所で導入されているように、お客様のエネルギーコストを最大40%削減するのに貢献しています。「この新しい MVR コンセプトによって技術的新境地に到達しました。MVR ヒートポンプを使用することでエネルギーが機械的に回収され、蒸留塔に再導入されるという好循環が生まれ、潜熱を回収して再利用することができるんです」と GEA Liquid & Powder Technologies 醸造・蒸留部門のビジネスマネージャー、デヴィッド・シャイビーは語ります。
この数世紀にわたり、私たちの社会と化学業界は目覚しい発展を遂げてきました。しかし、まさに今、文明の未来を支える持続可能な代替手段を見つけ、再生可能な技術を開発することが、かつてないほど重要な課題となっています。GEA は製造業におけるバリューチェーンにてよりレベルの高い持続可能性を実現するだけでなく、効率的な開発路線を加速させることにより、この課題に取り組んでいます。すでにロイナ市(ドイツ)に位置する UPM Biochemical のバイオリファイニング工場にデカンタ、セパレーター、エバポレータ、流動層乾燥機を納入しており、ここでは化石由来原料に代わる再生可能な原料を製造する予定となっています。
GEA の技術は現在、次世代のバイオ化学、バイオエネルギー、バイオ燃料の製造に利用されています。例えばノルウェーのバイオケミカル業界を率いる Borregaard 社では、GEA の高度な噴霧乾燥システムを利用してバイオベースのバルクケミカルを生産しているだけでなく、GEA のスクラバー技術により、貴重な物質の回収、製品の総収量向上、淡水取水の削減も実現しています。
フランスでは GEA の支援により、バイオテクノロジー企業が特許取得済みの発酵プロセスを通じて、テンサイの生産時に発生する廃棄物からさまざまな新しい高付加価値分子を製造しています。これらの酸は食品、医薬品、化粧品、化学、農産物の各業界で使用される化学製品の構成成分となる予定です。
グリーンディールの一部でもある循環経済行動計画は、環境を保護し、消費者に新たな権利を付与するとともに、グリーンな未来にふさわしい経済を実現し、競争力を強化することを目指しています。3,4 欧州化学工業連盟(Cefic)の事務局長、マルコ・メンシンク氏によると、「持続可能な消費へのこの究極の推進力はヨーロッパの雇用と経済成長の重要な推進力となり、これはコロナパンデミック後の EU 経済を活性化するために欠かせません」とのことです。5,6
ここでもまた、GEA は重要な役割を果たしています。例えばリチウムイオン電池は自動車産業の新星となった電気自動車(EV)を筆頭に、さまざまな用途で重要な役割を果たしており、私たちの日常生活に欠かせないものとなっています。持続可能な電池と自動車は将来のモビリティを支えるものであり、そのため電池材料の主要コンポーネントをリサイクルするソリューションの開発は非常に重要です。GEA は現在、リチウム、ニッケル、マンガン、コバルトといった希少な電池材料の供給を十分確保するためのリサイクルプロジェクトに取り組んでいます。
このグローバルな活動には、初めてエンドツーエンドのリチウム回収プロセスステップを開発したオーストラリアにおけるリチウム製造のパイオニアである Albemarle 社、最近 GEA が「優秀サプライヤー」賞に輝いた世界最大のリチウム電池正極材料サプライヤーである深圳 BTR New Energy Materials 社、GEA の結晶化技術を用いて不純物が極めて少ない電池用製品を生産している AMG Lithium GmbH などの企業との協力も含まれています。
GEA は EU が1400万ユーロを出資する PRODIAS イニシアティブに参加しており、化石燃料を使用した製品に代わる再生可能な製品の生産コストを削減する持続可能な技術の開発に取り組んでいるほか、製造手順を見直し、より持続可能で無駄がなく、効率性とコスト効果の高いプロセスを取り入れることに力を注いでいます。
これまで以上に健康的な未来を念頭に置いたより良いプロセスの開拓により、GEA は責任あるグローバル企業として確固たる実績を築いてきました。各ソリューションは持続可能なプロセスを持続可能な技術で実現するため、エネルギーと水を節約するとともに、余熱を再利用し、可能であれば廃棄物や排出量の削減を支援するように設計されています。
それでも、もっとできることがあるのではないでしょうか。GEA ではそう考え、「グリーン」に対する認識を高めています。当社はこの取り組みにバリューチェーン全体を取り込み、機械工学業界において最も包括的で野心的な気候戦略を追求するとともに、直接・間接的な排出の問題に取り組み、2040年までにネットゼロにするという目標の達成に努めると公約しています。
ACHEMA 2022 では排出削減、エネルギー源の転換、エレクトロモビリティ、循環型経済のニーズに対応するために設計された GEA の最先端のアプリケーションと技術が展示される予定です。また、専門家が待機し、長年にわたってさまざまな分野の研究開発をリードしてきた当社の取り組みを新旧のお客さまにご紹介することになっています。当社はこの先何世代にもわたってこの取り組みを続けていくつもりです。エンジニアリングによってより良い世界を実現するために。
当社のコミットメント