アイソレータを使用した錠剤の生産は面倒な工程であり、作業員は防護服と手袋を着用し、厚みのある窓越しに操作する必要があります。当社の技術者にとっての難題は、製品フロー及び封じ込めに関する専門知識を用いてアイソレータベースの処理をできるだけ多く排除することと、バッチサイズを増大させることでした。この難題を克服することで、生産フローをさらに効率化するとともに高いレベルの封じ込めを維持し、オペレータの安全を確保できます。
もう一つの重要な要素は、ブレンドによる均質性を維持することでした。つまり、最終生産物内の API のレベルが非常に低い状態で、製品の一貫性が必須でした。ブレンド工程の有効性は非常に重要になります。
ブレンドと打錠機の試験を実際の製品で実施した結果、重大な状況であることがわかりました。当社はまず、特許を取得した高度な封じ込めシステムを披露しました。それが、WOL (wash-off-line) ECM (Exchangeable Compression Module: 交換可能圧縮モジュール) を搭載した MODUL™ S 回転式打錠機です。製品に接触する機器はすべて、取り出し、交換、オフライン洗浄が可能な密閉した ECM に封じ込められるため、切り換え後 30 分以内で生産を再開できます。
MODUL™ S は、Pharma Flex 除塵装置 (Pharma Technology Inc.)、金属探知機、錠剤の重量、硬さ、厚さの試験装置 (Kraemer Elektronik) と併用しました。粉末送り込みシステムでは、HMI (Human Machine Interface: ヒューマンマシンインタフェース) 制御の BUCK® スプリットバタフライバルブを使用しました。また、当社はマルチチップ工具の使用を披露しました。パンチ (ステーション) ごとに 2 つのチップを使用することで、打錠機の生産力が倍になりました。MODUL™ はこの種類の工具向けに独特の機能を提供します。また、他の工具保護システムと異なり、パンチ損傷のリスクを解消する空気補正器を内蔵しています。
従来の打錠機と比較して、予圧縮テスト時の保圧時間が 200 % に拡大され、圧縮前に最適な製品脱気が可能になりました。特別に設計されたフィーダと専用のソフトウェアを使用すれば、最適な生産量が得られます。次に当社が披露したのは、低いレベルの API をフロー特性に難のある添加剤とうまくブレンドする機能です。この機能は、直接打錠製品にとって非常に重要な要件です。この要件は、ビンブレンドの工程において非常に効果的な Buck Systems™ のブレンドプリズム™ 技術を使用して達成しました。
当社のエンジニアは顧客のプロジェクトチームと緊密に連携し、最も効果的なシステムを設計して、すべての供給範囲について合意しました。このプロジェクトには、ラボのブレンドコンテナ、ブレンダ、さまざまなサイズの IBC、及び Vibroflow™ の排出技術などの実績ある当社の技術が含まれており、これらが連携して、フロー特性に難のある物質のブレンドを支援し、分離を生じることなく排出を行いました (API と添加剤の比率が低い場合に重要な機能です)。無塵製品の移送を実現するには、高度な封じ込め MC BUCK® バルブを使用します。最終製品の粉末が IBC に送られ、直接打錠のために MODUL™ S 回転式打錠機に入ります。ブレンド工程に移る前の API の最初の重量のみが、アイソレータベースのままで残ります。
新しいシステムは迅速に展開されました。事前の詳細が 4 か月以内に合意を得て、契約締結から 1 年以内に機械装置が納入されました。アイソレータベースの処理のほとんどを排除し、新しい工場用地に展開することで、バッチサイズと生産量の両方が大幅に増加します。同時に、作業環境全体が計り知れないほど向上します。
アイソレータ不要の生産