伊利乳業とGEAのパートナーシップが、安全で将来を見据えた製造のための技術革新をサポート
安全、高品質、持続可能な製造に注力
この安全、品質、持続可能な製造という理念は、2001年にGEAがTall Form 800噴霧乾燥機を黒竜江省のドルボドにある伊利の粉末製造施設に設置したことから始まり、伊利とGEAの20年以上にわたるパートナーシップを支えています。以来、両社のパートナーシップは成長と拡大を続けており、GEAの専門家は伊利と緊密に協力しながら、複数の伊利の事業所でTall Form およびMulti Stage Dryer（MSD®）噴霧乾燥プラント、乳製品粉末加工用の完全な湿式および乾式ラインを構成しています。
より迅速で安全な完全自動CIPのためのNIFRS技術
2022年、伊利は、内モンゴル自治区フフホトにある、当時の新しい乳製品製造現場、すなわち「Yili Modern Wisdom Health Valley」に設置されたGEA MSD® 1250噴霧乾燥機用に、特許取得済みのGEAのファインズリターンシステム（NIFRS）を中国で初めて導入した乳製品メーカーとなりました。
食品・酪農/乳製品噴霧乾燥器用に開発された特許取得済みのGEA NIFRSシステムは市場で唯一のシステムで、食品・酪農/乳製品噴霧乾燥機の定置洗浄（CIP）プロセスを完全に自動化します。このGEAの技術は、サイクロンの下、切替バルブの前後に位置するダイバータバルブで構成されています。この特許は、バルブ自体と、CIPを自動化し、手動ステップの必要性を排除する独自の洗浄シーケンスをカバーしています。NIFRS技術により、従来はCIP洗浄工程の前と後に行わなければならなかったサイクロン下のダクトの手作業による分解と再組み立ての必要性が、効果的に取り除かれます。
潜在的な汚染源を排除する
重要なのは、パイプワークの分離と再組み立ての必要性を排除することで、人との接触、パイプワークの空気、内容物、または表面の外部環境への曝露がなくなるため、スプレードライヤーの潜在的な汚染源が一つなくなることです。NIFRSによりCIPの完全自動化が可能になり、そのため手作業による配管の分解と再組み立ての際のミスのリスクや、液漏れの可能性がなくなるため、安全性の向上にもつながります。その結果、より迅速で徹底したCIPが可能になり、水や洗浄剤の使用量も削減できる可能性があります。これは最終的に、資源の使用とコスト、廃棄物、廃水処理の節約につながります。また、CIPの迅速化とダウンタイムの短縮により、全体的な生産性が向上し、そのためプラントの能力が高まり、投資回収が早くなります。
NIFRS テクノロジーの動作の利点を目の当たりにした伊利は、Yili Modern Wisdom Health Valleyのフェーズ II GEA乾燥機の NIFRS システムを再検討しました。これは MSD® 1250で、現在、フフホトで建設中です。3番目のNIFRSシステムは、天津のMSD® 1000システムで構成される新しいGEA噴霧乾燥プラントに含まれています。
伊利にとって、NIFRSの導入は次のことを意味します。
- 人が介在する必要がないため、手作業によるエラーのリスクがなくなります
- 各CIPサイクルのターンアラウンド時間を少なくとも1時間節約できるため、生産時間が増加します
- 伊利の従業員は、手作業によるリフティングが減り、労働条件が改善されます
- 少なくとも1つの潜在的な汚染リスクが取り除かれます
- 製品の品質と安全性に対する信頼が高まります
- CIPがより速く、より完全になり、必要な水と洗浄剤の量が減り、廃水が減ります
噴霧乾燥プラントとプロセスライン全体への投資
伊利社はすでに、中国全土とさらに遠く離れた地域で、多くの乳児用調製粉乳と乳製品粉末の製造拠点を運営しています。ミレニアムの初めに両社のコラボレーションが開始されて以来、GEAはこれらの製造拠点のうち6カ所でTall FormやMSD®噴霧乾燥プラントを含む噴霧乾燥装置の構成を実施してきました。このうち3カ所で、伊利はGEAに湿式・乾式プロセス段階の完全な供給ラインの構成を委託しています。1つの工場はすでに完成してフル稼働しており、もう1つの工場は建設中、そして3つ目の天津工場は2025年に完成する予定です。
卓越した製造業の実現に向けた相互推進
GEAチームと伊利のステークホルダーとの緊密でダイナミックな関係は、信頼、相互理解、そして卓越した製造業の実現という原動力の上に成り立っています。伊利社は、より環境に優しく、より効率的な処理に取り組んでいるため、プロセスの安全性、生産性、全体的な環境の持続可能性を改善できる最先端のハードウェアとソフトウェアシステムへの投資にも熱心です。そのため、当社は伊利社のプロセスにGEAの技術およびエンジニアリングのイノベーションを追加で供給し、導入することができ、同社は品質、生産性、環境フットプリントの改善だけでなく、急迫した市場での競争力を高めることができると考えています。
GEA DDD® 空気分散機
最新の伊利工場と、現在進行中および計画中の工場では、GEA DDD® 空気分散機技術をGEA噴霧乾燥プラントに組み込んでいます。他の空気分散機と比較して、GEA DDD® システムは乾燥工程をよりよく制御でき、より均一な製品をもたらすことができます。また、洗浄間隔を長くすることができるため、ダウンタイムをさらに短縮し、生産能力を向上させることもできます。
GEA CEEサイクロン
最新の伊利工場には、GEA Cyclone Extra Efficiency（高効率サイクロン、CEE）サイクロン技術が採用されており、直近に稼働を開始した工場には、食品・酪農/乳製品噴霧乾燥機用の特許取得済みの最新サニタリーバッグろ過システムSANICIP® IIが設置されます。GEA CEEサイクロンは、コンピュータ流体力学の詳細なモデリングを用いて設計されており、閉塞や粉体の蓄積の原因となり、コストのかかる生産停止の原因となる油脂の不着や摩耗のリスクを最小限に抑えます。GEA CEEテクノロジーは、粉体の分離効率が高いため排出量が少なく、しかもCIPに対応しているためダウンタイムがさらに短縮されます。
特許取得済みSANICIP® バッグろ過
特許取得済みのSANICIP® II 技術は、改良されたリバースジェットと短いろ過バッグが特徴で、機械的摩耗が少なく、バッグの寿命が最大50%延びるため、保守費用を削減することが可能です。乳製品の噴霧乾燥ラインにSANICIP® II 技術を導入すると、粉体の分布が改善され、生産率が向上し、ダウンタイムが短縮され、CIPインターバルが長くなります。
GEAの新しい微粒子回復システムは衛生的に飛躍的な進歩を遂げ、次世代の製品品質が向上するだけでなく、当社の粉末施設のより収益性の高い操業が保証されます。
Wang氏
伊利グループ最高技術責任者
革新的なヒートポンプ技術導入の可能性
伊利社の施設の生産性、品質、持続可能性を高める当社のイノベーションにより、当社は現在、伊利社のチームと協力して、GEAの革新的なAddCool® ヒートポンプ技術を噴霧乾燥プラントに導入する可能性についても、伊利社のチームと協力しています。AddCool® 技術は、噴霧乾燥機の排気や工場内の他のプロセスから廃熱を回収し増幅して温水を生成し、乾燥機の空気を予熱するために使用することができます。同時に、AddCool® システムは冷却能力を生成し、工場の冷凍システムのエネルギー要件を削減するために使用することができます。AddCool® 技術は、既存の噴霧乾燥プラントに組み込んで改造したり、あるいは新しいプロセスラインに設置することで、工場全体のエネルギー消費を削減し、二酸化炭素排出量を50%削減できる可能性があります。
生産的な成果のための協調精神
真の協調精神は、GEAと伊利社の継続的なパートナーシップの鍵です。現地にいるグローバルとローカルのGEAチームは、お客様のプロセスや厳しい要求と期待を理解するために懸命に取り組んでいます。また、私たちはお客様のことを本当によく知るために時間をかけるため、リモートでも対面でも、私たちが集まるときは常に生産的な話し合いになります。私たちは、次の20年にわたるパートナーシップの成功を楽しみにしており、伊利社の成長と拡大計画を支援し、より生産的で効率的、そしてより環境に優しい製造業の未来のために革新を続けていきます。
左から：プロジェクトマネジャーのEric Xu (GEA)、プロジェクト実行ディレクターのBingBo Min (GEA)、伊利ジンゼ工場のDawei Sun工場長。
伊利社は、先進的で進歩的な考え方を持ち、効率的で地球に優しく、競合他社よりも一歩先を行く会社を維持するのに役立つ新しいイノベーションについて、常にオープンな姿勢で議論しています。この業界では異例ともいえる先行者としてのスタンスは、伊利の技術的専門知識と柔軟性、そしてGEAとの長年のパートナーシップによって支えられており、両社はこのパートナーシップを通じてリスクを評価・軽減し、最終的に伊利とその製品、そしてビジネスにとって最善の決断を下しているのです。
BingBo Min氏
GEA中国、プロジェクト実行ディレクター
