ますます注目を集めるバイオプラスチック

16 Aug 2019

ますます注目を集めるバイオプラスチック

プラスチックがいまの技術、消費者、娯楽といった、暮らしに欠かせない部分であることは否定できません。製造コストが安く汎用性の高いプラスチックは、成形、プレス、圧搾、仕上げなどのあらゆる型、用途に対応します。私たち誰もが、食べ物や飲み物、洗面用品を安全に保つための包装の素材となっているプラスチックや、子どもたちが遊ぶ丈夫でカラフルなプラスチックのおもちゃになじんでいます。しかし、こうしたあらゆる場所にある素材は、救命医療機器や医療器具、風雨に耐えられる衣服、防弾チョッキの製造にも使用されています。

プラスチックとは?

プラスチックという単語はギリシャ語の 「plastikos」 に由来します。これは成形に適したという意味で、実際には非常に範囲の広い合成素材を指します。プラスチックの大半はポリマーです。これは結合して長い鎖状になった小さな有機分子からできています。どんなポリマーも、ポリマー鎖の長さや、これらの鎖がどのように相互に影響するかと同様に、最終的な性質は、耐熱性や柔らかさや伸縮性など、個々の単位、もしくは単量体の化学組成に左右されます。

ポリエチレンテレフタレート(PET)はポリエステルの一種であり、世界中で最も広範囲にわたって製造されているプラスチックの1つです。さまざまな形で、ポリマーは食品包装を含む広範にわたる商品を作るために使用されます。ポリスチレンやポリ塩化ビニル(PVC)といった、他の一般的なプラスチックの名前はおそらくご存知でしょう。

今日のプラスチックの大半は、原油や石炭などの化石燃料から製造されています。しかし、近年科学の進歩により、サトウキビ、バレイショデンプン、セルロース(木材)、トウモロコシ、大豆、廃植物油およびその他の食品や農業廃棄物を含む、環境に優しい植物由来の原料からプラスチックを製造することが可能になりました。世界中の化学および工程技師は、化石燃料から作られる素材を置き換えられるこれらのバイオポリマーおよびバイオプラスチックの製造方法を開発しています。現在では、再生可能な原料から製造できる多くのポリマーは、化石燃料由来の同等物と同じ性質を持ち、完全な生物分解性で、リサイクルできます。

日々の生活にバイオプラスチック
バイオプラスチック製造の代替ルート

産業組織、素材の研究者、官民の集団が、持続可能で環境に優しいバイオプラスチック製造を目指し、省エネ、資源を無駄なく使用する手法の開発に活用できるプロセスの最適化のため、「ホワイト」つまり産業バイオテクノロジーの開発を利用しています。

以下はそうした例です:

  • 英国のバース大学のチームは、セルロースから完全な生物分解性のマイクロビーズを製造する手法を開発しました。 
  • EUが出資するEUROPHAプロジェクトは、食品包装のための100%天然の生物分解性ポリヒドロキシアルカノエート(PHAによるバイオプラスチック)を開発しています1。  
  • メキシコのバイオポリマー企業であるBiofaseは、石油化学製品から作られた使い捨て製品の代替品として、アボカドの種子からバイオプラスチックのストローとナイフやフォークを製造しています。 
  • ニューヨークに拠点があるEcovative Designは、菌類を利用して、断熱中綿入りジャケット、テクニカルウェア、履き物から化粧品を塗るスポンジまで、幅広い製品に使用できるバイオプラスチック代替品を成長させる技術を開発しました。 
  • GC Innovation Americaは、タイに拠点がある化学製品会社PTT Global Chemical Public Company Ltdの支店です。PTT Global Chemical Public Company Ltdは、再生可能な資源から抽出されたコハク酸を使用して、バイオポリマーなどのバイオに基づく化学物質を開発しています。
  • フランス一国で、石油由来であるプラスチック製のペットボトルで、リサイクルされないものが毎年20万トンにのぼりますが、フランスのベンチャー企業であるLyspackagingは、100%植物由来で堆肥にできる代替品であるVeganbottleを製造しています。

推定によれば、世界のプラスチック生産量の約1%をバイオプラスチックが占めています2。バイオプラスチック生産能力は増加傾向にあり、バイオプラスチックのバイオポリマーの世界市場は、2018年には約69億5000万ドルでしたが、2023年には149億2000万ドルに達する可能性があります3

公的資金は、この分野のイノベーションをサポートするために非常に重要です。2018年末に、農業、食品、産業廃棄物を環境に配慮した包装に変えるため持続可能な方法の開発をサポートする目的で、英国政府は6000万ポンドの支出を約束しました4。EUも同様に、サトウキビの廃棄物を防火用のバイオポリマーに変える工程開発や、100%堆肥にできる食品包装に使えるバイオプラスチックなど、さまざまな取り組みに公的資金を投入しています5。 

バイオプラスチックは、人間の快適な生活に必要な自然環境を維持しながら、有用なプラスチック素材を供給します。

バイオマスをバイオポリマーとバイオプラスチックに転換する新しい工程は、効率的で信頼性の高い技術と工程の機器を当てにしています。ホワイトバイオテクノロジーの世界的リーダーとして、GEAはこの分野の最先端を行っており、10年以上にわたってバイオプラスチック部門と協力して開発、機器・技術のテストと微調整を進めてきました。これにより、産業界は研究開発と実験工程を拡大し、実用的な商業生産の流れを作ることが可能になります。

ループを閉じるバイオプラスチック

GEAの専門家は、バイオプラスチック製造の代替ルートを提供するコハク酸などのバイオ媒介物の使用など、製造の重要な段階の込み入ったノウハウを組み合わせています。他にも例として、植物由来の原料からの乳酸の製造です。乳酸は、ポリ乳酸(PLA)の製造に使用されます。ポリ乳酸は、生物分解性で環境に優しいPETの代替品であり、世界で最も多く製造されるバイオプラスチックの1つです。

GEAの技術者は、媒介物および生体高分子の製造におけるアップストリームおよびダウンストリームの工程ステージのシステムをカスタム設計できます。GEAのポートフォリオには、発酵、蒸留、溶融結晶化又は膜ろ過による精製のための技術と一緒に、遠心分離機や膜ろ過を用いたバイオマスの分離、濃縮、結晶化最終生成物の乾燥などを含むダウンストリーム工程のソリューションが含まれています。

GEAはEUが資金提供する1400万ユーロのPRODIASの取り組みの片翼を担っており、ヨーロッパの8つの組織が環境に優しい技術の開発に取り組んでいます。これにより、化石燃料ベースの製品に代わる再生可能な代替品の製造コストが削減されます6

重要なのは、GEAが組織と協力して工程の問題に取り組み、効率を高め、革新的なコンセプトをバイオプラスチックやその他のバイオ製品を製造するための発展しうる産業プロセスに変えることを支援していることです。ソリューションごとに、エネルギーと水の使用を節約し、余った熱をリサイクルし、可能な場合は廃棄物と排出物を削減するように設計されているので、環境にやさしいプロセスが持続可能な技術を用いて行われるようになります。

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GEAのお客様は、バイオ媒介物やバイオポリマープロジェクトのすべての段階でサポートされています。GEAテストセンターの世界的なネットワークにより、お客様は技術およびエンジニアリングの専門家と協力して工程の問題に対処し、実験規模および商業規模の両方で、カスタム設計のマシンと完全に一元化されたソリューションの設計、試験、最適化を行うことができます。 お客様は、テストセンターでEMCの専門知識、またはお客様のサイトでのテスト機器を活用して、いつでもGEAのサポートを利用できます。
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