GWP (Global Warming Potential; 地球温暖化係数) が1の凍結乾燥冷却システムはどのようにして作るのでしょうか?

29 Nov 2021

凍結乾燥器による冷却改善のための天然ガスの組合せ

産業用冷媒は、過去にオゾン層破壊を回避するために改善されましたが、それらには依然として地球温暖化に寄与する可能性がかなりあります。

製薬用凍結乾燥の用途に現在使用されている冷媒はすでに品薄になっており、2030年には市場から消え去る可能性があることを考慮して、GEAの製薬および保健医療 (Pharma & Healthcare) 部門では、天然冷媒を商業規模の凍結乾燥用途に使用する代替的な低温冷却ソリューションを模索しています。

産業用凍結乾燥

血漿の安定化のための最も初期の用途以来、凍結乾燥は生命科学業界で50年以上にわたって使用されてきました。この間に、フリーズドライヤーまたは凍結乾燥器は、低温での真空乾燥のための簡単な装置から、極めて洗練された統合システムへと進化してきました。現在の選択肢では、経済上、安全上、および環境上の問題を考慮しつつ、製品が技術的および生物学的仕様を一貫して満たすようにするために、多くの工程を組み合わせています。

凍結乾燥とは脱水工程であり、一般に腐敗しやすい材料を保存したり、材料の輸送や保管をより簡便にするために使用されます。凍結乾燥は、材料を凍結させた後、周囲圧力を低下させ、材料中の凍結した水分を固相から気相へと直接に昇華させることによって行われます。冷媒の使用はこの手順全体にとって必須です。

GEAは、凍結乾燥器を用いた冷蔵システムの実装のための機械的な、または極低温によるさまざまな選択肢を提供しており、それらは個々の工程および製品の要件に合わせて適合させることができます。凍結乾燥工程に適切なソリューションを選択する際に、主に考慮するべき2つの事柄は、冷蔵温度と冷却能力です。

従来の合成冷媒が一般的ではなくなりつつあり、次第に制限を強めつつある法律によりGWP (Global Warming Potential; 地球温暖化係数) の大きい化学物質の使用が禁止される (モントリオール議定書および京都議定書による) 中で、天然冷媒を使用する圧縮機翼列 (多段階熱力学サイクル) への投資は’ますます実用的になっていくことと思われます。それに呼応して、凍結乾燥用途のためのGEAの冷蔵装置はすべて、工程および製品の広範なニーズを満たすよう、天然冷媒で動作するよう設計されてきました。

数種の使用可能な化合物の一つはエタン (C2H6) です。沸点 (–88.5°C) が非常に低いため、エタンはカスケード冷却システムに使用可能です。たとえば、間接シリコン油冷式アイスコンデンサー内では、–80°Cよりも低い温度を達成することができます。ですが欠点があります。エタンを含めた一部の天然冷媒は爆発性であり、ATEX指令に準拠するために特別の注意を払って取り扱う必要があります。とは言え、GEAなどの会社にはこのようなシステムを極力安全にできるだけの専門知識と経験があります。製品とオペレーターの両者を確実に保護するために、GEAでは、爆発性冷媒で作業を行うすべてのカスケードの周囲に、必要な安全措置をすべて含めた格納施設を組み込み、そのようなシステムを標準の製薬環境で即座に使用できるようにしています。

今日ではGEAは、凍結乾燥器用の革新的なエア サイクル システムを開発しましたが、このシステムにも二酸化炭素 (CO2) 冷却を組み込んでいます。高いレベルのスループットと信頼性を実証するために使用されてきたLYOAIR®システムは、特殊なATEX装置なしで操作でき、ATEX装置のない部屋に設置することができます。

GWPが1であることは、なぜそれほど重要なのでしょうか?

GEAのCO2ブースター システムは、最低–50°Cまでの温度に到達することができ、広範な製品冷凍用途に適しています。The LYOAIR®冷却システムは天然冷媒を使用しており、GWPは1です。それが重要なのはなぜでしょうか?GWPスケールは、さまざまな気体の地球温暖化への影響を比較できるようにするために開発されました。具体的には、放出された1トンの気体が与えられた時間に吸収するエネルギーの量を、放出された1トンのCO2のそれと比較した尺度です。GWPが大きいほど、その気体は地球をより著しく温暖化させます。すなわち、GWPは常に小さいほうが良く、最良の値は1です。

手短に申しますと、GEA LYOAIR®は、2015年フッ素化温室効果ガス規制 (2015 fluorinated greenhouse gases regulation) に準拠する天然冷媒を用い、非常に効率が高く経済的なサードパーティ製の圧縮機を一体化して利用しています。エア サイクル システムにCO2ブースターを組み合わせると、通常のエア サイクル システムに比較して、凍結乾燥器のエネルギー消費量は小さくなります。また、特筆すべき利点には、爆発性または毒性の天然ガスが不要であること、振動の低減、より静かな稼働、そしてGWPがないことがあります。さらに保守が簡単で、液体窒素を用いた代替方法よりも稼働が大幅に低コストになります。

GWP (Global Warming Potential; 地球温暖化係数)

GWP (Global Warming Potential; 地球温暖化係数)

GEAは、そのバリューチェーン全体の温室効果ガス (GHG) 排出量正味ゼロを2040年までに達成するという明確な目標にコミットしています。

お問い合わせ

GEAの最新情報をお届け

GEAからのニュース配信にサインアップして頂ければ、GEAのイノベーションやストーリーの最新情報を受け取ることができます。

連絡先

ご要望をお伺いいたします。ご要望の詳細をご入力いただければ、お問い合わせに回答いたします。